ジョブ型雇用とは、「会社が提供する・個人が担うジョブ(仕事)について会社と個人が同意し、個人はその遂行を、会社はそれに見合った報酬を提供する」という、ジョブを基点にした雇用契約です。しかし、これはあくまで“ジョブ型雇用”であり、本当のジョブ型とは企業戦略実現のための組織づくりの観点から議論がなされるべきです。
ミッション・ビジョン・バリューを念頭に置き、どのような経営戦略を描くのか、より上位の戦略を実現するための方策という観点から語られてしかるべきものです。中長期事業計画で明示された数値目標・各種KPIを達成するためには、どのような組織を作る必要があるかを先に考え、必要となる仕事をあぶり出し、いつ、どこに、どのレベルの人が何人必要かを計画すること、つまり組織の観点からジョブ型の仕組みへの転換を進めていく必要があるのです。
上記を紐解くと、必ずしもジョブ型でなければならない、という話ではなく、経営そのものに対する考え方が問われているのだということがわかります。「メンバーシップ型だからうまくいかない」「今後はジョブ型の時代だ」といった人事制度の“型”の話ではないのです。それぞれの特徴を正確に理解した上で、ミッション・ビジョン・バリューを実現すべく “どのような組織でありたいか”から、経営戦略と人事戦略を描き、“自分たちらしさ”を追い求めていくことが大切です。