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ジョブ型人事 等級制度

役割等級からジョブ型の職務等級への置き換え

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JOB Scope編集部 : 2023年 2月 19日
job grade

人事制度を構成する諸制度の3つの基本は、等級制度評価制度報酬制度です。本日は、JOB Scopeでも相談の多い、等級制度についてお話しします。

等級制度は、仕事の役割や責任、働く能力などで等級ごとに区分するものです。すなわち社員を等級別に区分して序列化するのです。

等級制度には、大きく3つ区分けの仕方があります。

一つは、人を基準とする「能力」に基づいて序列化する職能資格制度です。これは、職能資格基準に基づいて区分けするのですが、日本が未だ右肩上がりの経済で企業も社会も成長していたときに運用されたものです。しかし、現在は経済成長が低迷し、職能資格等級でステップアップしてもポストが無いという状況です。さらには、職能資格基準による職務遂行能力の評価は基準が定性的で曖昧なため運用が非常に難しいという点があります。年功序列型賃金は、社歴や経験が長ければ、必然的に能力が高いだろうという曖昧な判定基準の考えのもとに社会的な合意形成が出来上がったのかもしれません。ただし、そもそも仕事をする能力があっても、能力を発揮して成果をださなければ、仕事で貢献したことにはなりません。そこで、バブル経済崩壊後の1990年代後に成果主義が叫ばれるようになった遠因でもあります。

二つめは、役割を基準とする役割等級制度です。ミッショングレード制とも呼ばれるものです。仕事内容や職責などの役割に応じて序列化するものです。職能資格制度と後述する職務等級制度を一部兼ねる制度ですが、役割の定義は、導入企業により様々となっているので企業の状況に応じたアドホックな人事制度の仕組みだと言えます。加えて、役割を果たす期待される行動を記載する役割定義書は、職務記述書作成に比べて作成時の負担が低いために、社会環境変化により組織や職務の変更が柔軟に対応できる傾向があります。

三つめは、職務等級制度です。いわゆるジョブ型人事の屋台骨となる等級制度です。職務記述書(ジョブディスクリプション)で仕事のタスク(課業)や職務遂行に必要なスキル、考え方や求められる行動特性、期待される成果他、詳細に定義された職務を担う事が出来れば、社歴や年齢、国籍など人に依存するものを考慮せずに賃金は同じです。すなわち、同一労働・同一賃金というものです。働き方が多様化し、業種を跨いだ人材の流動性が高まり、社会のデジタル化による新たなスキル獲得の必要性が叫ばれる今日、最も日本企業に求められる等級制度であることは疑う余地が無いでしょう。

 

前段が長くなりましたが、本ブログのテーマである「役割等級からジョブ型の職務等級への置き換え」に関して話題を移します。結論を申し上げると役割等級からJOB Scopeでの職務等級への移行は比較的スムーズにいきます。大きな違いは、職務等級制度への移行においては、職務ごとに精緻化した職務定義書を作成する必要がある事です。

 

下記の図は役割等級制度の例として縦軸に役割等級、横軸に部門を配置した図です。ポイントは三つあり、一つは役割に対して等級が設定されます。二つに役割等級ごとに期待される役割があります。三つに役割に応じた賃金テーブルがあります。そして役割等級と部門(職種)が交差する点が担う仕事ですが、この仕事を担う役割定義書があります。

役割等級

次に、職務等級制度は、JOB Scopeの職務等級制度の例としてお話します。基本の構造は変わりません。縦軸に役割等級(職務等級)。横軸に部門(職務)となります。違ってくる点は、等級と部門が交差する点に職務が定義されます。そして、職務ごとに詳細な職務記述書が作成されます。加えて、JOB Scopeの特徴として、役割等級(職務等級)ごとに評価指標賃金テーブルが設定されます。職務記述書は、評価シートの基となるため、業績評価項目・行動評価項目ごとに定義されています。さらに、賃金と連動するジョブグレードは職務単位に設定する事ができるため、同じ役割等級であっても、部門の職務によっては賃金グレードを変えることが出来るなどの柔軟な作りとなっています。

職務等級

従って、これまでも役職等級制度で運用されていた企業様において、JOB Scopeの職務等級制度への置き換えは大変スムーズに行えています。

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