2022年版中小企業白書・小規模企業白書の中で経営者が着目する点として、人的資本・研究開発・IT資本等への投資をはじめとする無形資産投資と自社ブランド発信とブランドコンセプトの明確化、従業員へのブランド浸透による販路拡大のためのブランド構築が挙げられています。
注目するのは、中小企業経営者が重視する経営資源は「ヒト」を第一とし、その上で従業員の仕事に対するエンゲージメント向上のために、従業員の能力開発に取り組むことが重要と位置付けられています。
ご存じでしょうが、日本の企業数約421万社の内、99.7%の419.8万社は中小企業です。
中小企業の定義は、
です。
中小企業に従事する従業員数は、約2,784万人。わが国の正規雇用全従業員の69%を占めます。中小企業経営者が本気で従業員の能力開発に取り組むことが出来れば、日本経済の回復にも兆しが見えてくることでしょう。
一方で、24年ぶりの円安は深刻で、経営者の投資意欲を減衰する大きな要因であるのは間違いありません。また、白書では、他に73.8%の中小企業が、コロナによる経営への影響が続いているとの回答としています。
理由としては、直接コロナが影響しているかは定かではありませんが、依然として人手不足が深刻との事です。加えて、資材や電力価格の上昇も経営に大きなインパクトを与えているとの回答です。原材料の高騰は深刻です。他方、まだ日本の電力価格の上昇率はヨーロッパに比べて低いのですが、それでも、経営には大きな影響です。
中小企業の経営上の不安要素の高いものは以下2点です。
原材料価格・燃料コストの高騰
人材不足・育成難
その上で、
経営基盤の強化に向けた注力分野として挙げられているのは、
人材の確保・育成
となっています。
さらに、国内の消費低迷、販売不振に対する懸念があり、その上で、注力する分野として、営業・販売力の強化が上位に来ています。
いずれにしてもヒト・モノ・カネ・情報の4大経営資源で、ヒトへの重要度が今まで以上に高まっているのは間違いありません。
その為には戦略的に人事を考えていく必要は言うまでもありません。会社を取り巻く環境がドラスティックに変化している今、経営戦略、事業戦略から抜本的に組織を見直す必要性がありそうです。
これまで数々の実績を出してきた企業であればあるほど、強固な組織が出来上がっています。組織は一旦カタチが出来ると、体制を守るために変化を嫌う性質があります。これは、既得権益を守ろうとする抵抗勢力もありますし、変化を嫌う現状維持を好む抵抗勢力に影響を受けている場合もあります。過去の栄光を引きずられて変化することに躊躇してしまう事も理解できます。
しかし、お客様自身が変化している今、痛みを伴う変化が出来ない組織からは、いずれお客様は離れていきます。
劇的に経営環境が変化している今、コロナからの回復基調にある今こそ、経営トップは戦略人事で組織改革を行う必要が急務だと考えます。
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