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職能等級からジョブ型の職務等級への移行

作成者: JOB Scope編集部|2023年02月19日

ご存じの事と思いますが職能等級制度は、日本企業で長年に渡って運用されてきた等級制度です。社員の能力に応じて等級を決めるもので広く日本企業で使われてきたものです。

等級を図るやり方として職能資格基準に基づいて職能資格等級を判定します。しかし、大きく2つの課題があります。一つは、職能資格基準による職務遂行能力の評価が難しい点です。これは、基準が定性的で曖昧である点です。二つ目に、職能等級は、高度成長期に多く運用されたもので、右肩上がりの経済成長時は、企業も拡大していますので、ポストを必要に応じて提供することができました。しかし、現在の低成長の時代では、等級が上がって昇格しても与えるポストが無いという課題も見られます。加えての課題として、社員が能力を持っていたとしても、その能力を発揮して会社に貢献しなければ上位の等級を与えて昇給しても意味を成しません。そこで、職能等級と欧米の職務等級の間をとった着地点として役割等級制度があります。

役割等級制度は以下のブログに書いていますので合わせてご覧ください。

さて、ブログのタイトルに戻って、JOB Scopeの導入のご支援をする機会で良く質問があるのが、職能等級から職務等級への移行は難しい。そもそも出来ないのでは?というご意見です。確かに、組織全体を見直し、人事制度を抜本的に改革しないといけないのは確かなのですが、職能等級から職務等級の制度変更は手順を踏めば変更できない事はありません。違いは人事制度のポリシーや会社が報いる社員に対する考えが大きく変わるため、社員の皆様に不利益が発生しない事は勿論ですが、新たな制度が社員の皆様の頑張りに応える仕組みで有る点や成長を促進したりする点の説明。具体的には、曖昧な仕事が明確になって効率的な業務プロセスや品質向上につながり、結果的に労働時間の短縮によるワークライフバランスの向上、利益の最大化による社員への還元など人事制度改革が成功した暁には、ベネフィットで報いる事が出来る点を丁寧に説明してご納得いただけるようにする事が最も大切で重要な点です。すなわち仕組みを作るのは難しくなく、新たな制度を社員の皆様にご理解頂く点に最も時間を割くことが肝要です。

 

そもそも職能等級は以下の図のような仕組みとなっています。上述しましたように、職能資格基準により等級は社員に設定されます。等級が社員に紐づいているので、組織上降格しても職能資格基準の評価が同じなら等級は変わらない点です。

 

他方、以下の図はJOB Scopeの職能等級の例です。ポジションごとに職務定義書(ジョブディスクリプション)を作成して、その職務を担う社員を配置します。職務等級の場合は、職務定義書を基準とするので賃金に連動する明確な等級が設定されないパターンも場合によってあるようです。しかし、JOB Scopeは、日本企業に最適化したジョブ型人事の仕組みなので、職能等級や役割等級と同様に明確に職務等級と個々の職務記述書に割り当てるジョブグレードを設定できる仕組みとなっています。

従って、職務等級に対して想定する階層、役職ごとの規定を明確化し職務を設計していく事が出来るため、旧来型の人事制度を運用されている企業様にも、これまでの人事ポリシーを踏襲しながらジョブ型に移行して制度設計を実現する事が可能です。