新規性の製品やサービスを開発し市場に投入出来たとしても、必ず先行する企業の製品やサービス、もしくはちょっと視点を変えると類似するモノが存在します。潜在顧客には、いくら革新的な製品やサービスだと訴えても、なかなか伝わらないのが実情です。
特に、ベンチャー企業の場合は、既存ビジネスモデルをDXやAIなどで効率化や収益性を高めスケールの拡大を目指すので、ビジネスモデルがアナログや多少時代に合っていなくても大企業が提供している事が多々あります。
スタートアップ企業では、革新的な技術で新しいビジネスモデルや製品を作るので、参入時には大きなライバルがいなくても、市場規模の拡大が見込まれると判断されたら大手企業が参入してくるケースもあります。
現在は必ずと言って良いほど、ライバル企業は存在します。従って、マーケットシェア拡大を目指して、熾烈な競争を覚悟していく事になります。ここで、大手企業とのガチンコ勝負を行うと、経営資源で劣るベンチャー・スタートアップ企業や中小・零細企業はいずれ体力を消耗して負けてしまいます。
そうならないためには、十分な経営資源が出来上がるまでの戦い方や強い競合企業との競争を避ける戦い方をしてくことが得策です。
競合企業がテレビCMをやっているから、認知拡大やブランド醸成のためにわが社でもと考えたくなるのも理解できます。しかし、施策の優先順位を十分に考えて実施しないと、資金を失うだけでなくシェアも獲得出来ないで息絶える可能性も排除できません。
そこで、新しい製品やサービスを市場に出すベンチャー企業やスタートアップ企業、中小企業などは戦い方が重要であり、戦い方を決めた上での戦う組織作りが求められます。
戦い方の一つとして、古典的な孫子の兵法やマイケルポーターの競争戦略も有効です。ここではランチェスター戦略による差別化と重点化を紹介します。
ヒト・モノ・カネの経営資源が劣る。さらには会社名や製品・サービス名での知名度がどうしても競合する企業に劣る場合において、戦い方を工夫する事で競合企業に打ち勝つ可能性を高めるというものです。
ランチェスター戦略の詳細は、グーグルで検索すると解説するビジネス系のWEBページが沢山あるので、詳しくはそちらに譲るとします。
この戦略は、軍事用語ですがビジネスの世界で広く使われています。簡単化すると市場における弱者と強者に分析して、弱者が勝てる戦略を考える事です。
自社の得意分野に市場を絞って、差別化要因を打ち出し販売する。もしくは、ニッチ領域におけるNo.1の製品やNo.1サービスとして認知させ顧客のマインドシェアを獲得していくものです。
よく競合企業が大手だと動きが遅いので、自社は小回りが利いて競争優位がある、また、意思決定も早いと言われる経営者も中にはいらっしゃいます。しかし、大手企業はヒト・モノ・カネ・情報いずれにおいても上回るので全てにおいて広範囲に動きが速いです。
例えば、経済産業省も旧来型の日本型人事制度からの転換が日本企業に求められるという提言もありジョブ型人事や雇用が話題となっています。実際にジョブ型への移行が進んでいるのは大手企業です。企業規模が大きいから簡単に人事制度を変えられないという意見は、ごく一部の見方でしかありません。また、企業の真の競争優位を構築するためには、人的資本経営が求められるということで、自社の人的資本経営の11領域、58指標を公開しているのは、欧米の名だたるグローバル企業です。
話を戻して、ランチェスター戦略でのポイントは、No.1になる事です。狭い領域で特定のセグメントの顧客、差別化された商品など、何れにおいてもNo.1を目指す事です。さらに、勝てる市場にフォーカスエリアを設定する事。その上で、自社製品やサービスの強みに一点突破で集中する事です。
自社の戦略が明確になれば、最優先で取り組むことへの選択と集中できる組織体を考え、その戦略を実行する部門の役割や職務を洗い出して定義し、優先的に人財を配置していく戦略人事が求められます。
JOB Scopeの導入を通じてお客様とお話する機会が多数ありますが、多くの方が人事戦略を点で考えられている事が見受けられます。今ほど人的資本が重要視されるビジネス環境においては、自社が競合企業に打ち勝ち、あるセグメントにおいてNo.1を目指す戦略を考え、その為の組織作りがこれまで以上に求められています。
JOB Scopeでは、人事の仕組みを提供するだけでなく、ビジネス戦略の大上段から戦略的に人事や組織の在り方を再定義していく戦略人事を線から面へ昇華する事ができるジョブ型人事クラウドサービスです。