日本でも人的資本経営に関する記事やニュースを見る機会が増えてきました。背景として、米国証券取引委員会(SEC)が2020年に「人的資本の情報開示」を上場企業に対して義務化の発表し、さらに世界中が人的資本を企業価値の向上に経営戦略と人事戦略を連動させる動きが活発化にあるようです。
この動きの前段として、国際標準化機構(ISO)は、2018年に人的資本報告に関する国際標準ガイドライン「ISO 30414」を公開しています。まだ取得している企業はグローバルレベル(図参照)でも少ないですが、今後上場企業は必須となってくるでしょう。
経済産業省は、人的資本経営とは「人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方」と定義しています。
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinteki_shihon/index.html
背景には、あらゆる産業においてデジタル化が進んだ社会。産業構造が安価で品質高いモノづくりの製造からこ゚とや体験を含む高付加価値を生み出すサービスへの価値変化。少子高齢化による生産労働人口の減少。その対比としての人生100年時代のセカンドライフにおける退職後の社会活動への積極的な関わり意欲。などがあるのでしょう。
以前の投稿「日本企業の従業員エンゲージメントが世界レベルで低水準」で紹介した、「未来人材ビジョン」の中で「人材版伊藤レポート」では、人材戦略に求められる3つの視点・5つの共通要素が提唱されました。
さらに、人的資本経営の実現に向けた検討会報告書「人材版伊藤レポート2.0」では、
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinteki_shihon/pdf/report2.0.pdf
人材版伊藤レポートの深堀アイデアとして、「経営戦略と人材戦略を連動させる取り組み」の中で主に以下を上げています。
企業は、経営戦略の中心に人事戦略を据えて責任者を設置し課題を明らかにして競争力強化を図ることなのでしょう。
「リスキル・学び直しのための取組」の中では以下2点に注目。
これは、労働市場を意識しながら、社会が求める職務を明らかにしてそのための人材教育を企業が主体的に行う事で、社員も組織のレベルアップを図っていく取り組みでしょう。
「社員エンゲージメントを高めるための取組」の中では、
が挙げられています。
多様な働き方の現在、企業はより柔軟性がある働き方を社員に提供することが、社員のエンゲージメントを高める手段だと言えますね。
いづれにしても、経営者は人的資本経営を意識して取り組まなければなりませんね。その為にも「ISO 30414」をしっかりと理解しておくことが求められるようです。