JOB Scope | 人的資本経営・ジョブ型人事・組織戦略に関するブログ

日本の国際人材競争力は39位?

作成者: 山本 哲也|2022年07月22日

 スイスのビジネススクールIMDInternational Institute for Management Development)は、毎年国際人材競争力ランキングを発表しているのはご存じでしょうか?

最新版の2021年度を基に、JOB Scopeにて過去の資料も併せて2010年から2021年までの10年間のランキングをまとめました。

ランキングの指標は大きく3つ。

 

労働環境への投資と開発

国外の人材を引きつける魅力

人材が持つ技能や能力

 

 この中には、経営層への報酬・GDPに占める教育への予算支出の割合・外国人材の活用・経営層の国際経験や言語能力・PISAOECD生徒の学習到達度調査)基準での教育評価・生活費・女性の活用など約31指標から分析されています。

詳しくは以下を参照してください。

 

https://www.imd.org/centers/world-competitiveness-center/rankings/world-talent-competitiveness/

 

 経営層の国際経験や言語能力、女性活用など日本は低そうだなというのは理解できますが、世界ランキングで39。過去10年間も30位前後でかなり競争力が低いのですね。韓国は34位、中国は36位、米国14位、ドイツ10位、スイス1位です。

 

 

 経済大国だ、中国には抜かれたけどGDP世界3位だ。G7の一員だと誇りを持っていた日本。最近は凋落激しいですが、一昔前までは、グローバル企業も多数ってイメージで日本は国際的に競争力が高いのではって個人的には思っていました。しかし、残念なことにこの結果です。

 グローバルレベルで評価となると2021年度は、特に生活費60経営層の国際経験64管理職の能力58言語力62と低いランキングです。

 

 教育にも問題あるのかもしれませんが、要因は様々でしょう。そもそも日本人は成長しようという、グロースマインドセットが低い事も影響しているのではないでしょうか。

 パーソル総合研究所 「APAC就業実態・成長意識調査」では管理職になりたい、出世したいという意識が日本人はダントツに低いです。

 

 

 一つに、新卒一括採用で終身雇用年功序列型賃金、レイオフに厳しい労基法などで会社に守られてきた社員の姿があるのでしょうか。弊社はベトナムに子会社がありますが、確かにベトナムの社員は終業後に語学学習や資格取得のための学校、プログラミングのオンライン学習など積極的に自己研鑽に励んでいます。

 新たなスキルを獲得して、対応できる職務が上位になれば、それだけ待遇も良くなるグローバルスタンダードの人事制度がベトナムにはあるからでしょう。ベトナムは確かにジョブ型人事(この名称は、あくまで日本国内で言われている名称であって、グローバルではジョブ型が一般的です)なので、採用時のCV(日本の履歴書にあたる、グローバルな職務経歴書:curriculum vitae)には、経験した職務内容も詳しくあり、さらに保有するスキルセットもしっかりと記載されています。自身の職務能力向上がすなわち豊かな生活に直結するから向上心も強いのだと推察します。

 日本の人事制度ガラパゴス化しているという声は、日本の競争力低下とともに大きくなっているように思います。グローバル標準の人事制度で社員のキャリアマネジメントをしっかりと支援していくことが国際競争力強化の観点から企業には求められるでしょう。